贈与による名義変更とは?

 対価を払わずに、つまり、無償で不動産の名義を変えることをいいます。

 贈与は当事者の合意があれば有効ですし、贈与による所有権移転登記自体は、なんてことのない簡単な登記です。

 でも、登記しました、贈与税が掛かってきましたでは、依頼人に恨まれます。司法書士も最低限度の贈与税の知識を持つことが不可欠なのです。

 通常の贈与税は、以下のとおりとなります。例えば、2000万円の贈与では、720万円の贈与税が課せられてしまいます。ですから、以下の非課税制度を上手に使うことが必要なのです。

課 税 価 格税 率控 除 額
〜 200万円10%0万円
〜 300万円15%10万円
〜 400万円20%25万円
〜 600万円30%65万円
〜1,000万円40%125万円
1,000万円超50%225万円
  基礎控除110万円 


 非課税制度を使いましょう

(1)夫婦間の贈与配偶者特別控除

 奥様の内助の功をたたえるために夫名義の不動産を奥様に贈与するような場合です。次の要件を満たせば、2110万円までは、非課税です。

(ア)婚姻期間が20年以上であること
(イ)居住用の財産か、居住用財産を取得するための金銭であること
(ウ)贈与の年の翌年の3月15日まで、居住しその後も居住する見込であること

 要するに、婚姻期間が20年以上の夫婦が自宅を贈与する場合は、2110万円(内110万円は基礎控除)までなら贈与税は掛からないのです。

☆下記に注意してください

その1
評価は、土地は路線価で、建物は固定資産評価額で算出します。路線価は8月頃に国税庁から発表されます。路線価はおよそ時価の8割といわれています。土地の間口や奥行き等により定められた補正率を掛けて算出します。(贈与税の評価すべてに共通します)

その2
評価が2110万円を超える場合は、2110万円に収まるように計算した持分を贈与します。

その3・・・贈与の翌年の確定申告時期(2月1日から3月15日)に、特例を受ける旨の申告が必要です。(戸籍謄本、戸籍の附票、住民票、登記事項証明書を添付)

その4・・・贈与税が非課税でも、不動産取得税は課税されます。 


 (2)親から子への贈与(相続時清算課税)

 親から子に生前贈与する場合です。次の要件を満たせば、2500万円まで非課税です。(これを超える分は一律20%)

  65歳以上の親から20歳以上の子への贈与であること

☆下記に注意してください

その1
相続時清算課税という名のとおり、親が死亡した際には、相続税として税金を納める必要があります。ですから、相続税対策にはなりません。また、相続で不動産を取得すれば不動産取得税が掛かってこないのに対し贈与では掛かってきますので、却って税金が高くなることも。

その2
相続税の非課税枠は、基礎控除5000万円+1000万円×相続人の数ですから、余程の資産家で無い限り、相続税は非課税枠内に収まります。このような場合は、相続時清算課税を使うことによって、結局、贈与税も相続税も払う必要が無いということになります。

その3
生前贈与を受けた子は、特別受益を受けたことになりますから、その分相続分が減少します。

その4
贈与の翌年の確定申告時期(2月1日から3月15日)に、「相続時精算課税選択届出書」を提出し特例の適用を受ける旨の告が必要です。期間を過ぎたり、通常の贈与の申告をしてしまうと、贈与税が課せられます。 


  (3)親から子への住宅取得資金の贈与(住宅取得資金等に係る相続時清算課税の特例)

 親が子供の住宅取得資金を贈与した場合、3500万円まで非課税です。しかも、親の年齢は65歳未満でも適用されます。 


 (4)基礎控除110万円を上手に使う

 農地や山林の場合、宅地に較べて評価が安いので、110万円の基礎控除を使って非課税枠に収めることもできます。市街化調整区域の土地は、固定資産の評価額に定められた倍率を掛けて評価をします。この倍率は国税庁が発表しています。

☆下記に注意してください。

借地上の建物の贈与

 建物の固定資産評価額は減価償却で築年数が古いと、110万円の非課税枠に収まることもあります。建物を贈与するのだから建物の評価だけでいいと思いがちです。しかし、建物を贈与するということは、借地権も贈与するということになるのです。借地権の評価は、底地の評価の4割〜8割ですので、思わぬ高額の贈与税が課されてしまいます。また、借地権の贈与では、地主さんの承諾が必要になります。これを忘れて建物の名義を変更してしまうと、借地権の無断譲渡となり、借地契約を解除されてしまいます。 


 

 その他贈与の注意点

1.その贈与、ただの贈与ですか?

 例えば、住宅を贈与する代わりに住宅ローンを引き受けるような場合です。これを負担付贈与といいます。贈与税が掛からない場合があります。
 

2.贈与の動機は?

 差押逃れの名義変更は、詐害行為といって、債権者から取り消されますし、強制執行免脱罪という立派な犯罪です。

 そのような名義変更は、債権者にけんかを売っているようなものですから、もはや債権者と分割弁済の話をするということが出来なくなります。 

        司法書士 畑 理枝 事務所 

     京阪くずは駅前マクドナルド西隣

       電話 072−867−7440